早実の清宮幸太郎内野手が高校通算105号となる満塁本塁打を放った。

早実の清宮幸太郎内野手が高校通算105号となる満塁本塁打を放った。

 17日の西東京大会4回戦の都芦花戦に「3番・一塁」で出場。七回1死満塁で迎えた5打席目、外角直球を逆らわずに押し込んだ打球は、左翼席に飛び込む満塁弾となった。早実は14―0の七回コールド勝ちで16強入りだ。

 清宮はこれで春の都大会からの公式戦連続試合本塁打を「7」に伸ばした。高校通算最多の107本まであと2本。5回戦(21日、対法政)から舞台は神宮球場に移る。

 清宮は引っ張った打球が圧倒的に多い。105本のうち、中堅から逆方向への本塁打はたったの5本しかない。そのうち3本は今年に入ってからのもの。「清宮の打撃に変化が見られる」とセ・リーグ球団のスカウトがこう言った。

「ボールをとらえるポイントが、少し近くなっています。ボールを長く見ようと意識しているように見えますね。そのため逆方向へ大きな打球が飛ぶようになったのではないか。基本的にはプルヒッターですけど、DeNAの筒香のように、逆方向へも放り込めれば、プロの評価はさらに上がりますよ」

 転機は昨秋の東京大会決勝で、日大三のドラフト候補左腕・桜井から5打席連続三振を喫したこと。ボール球になるスライダーにことごとく手を出した教訓から、体の開きを意識するようになったという。和泉実監督は試合後、「ああいう打撃(逆方向)が出始めると、彼本来のものが出てくる。これで徐々に良くなってくる」と目を細めた。

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 清宮周辺では早大進学説が根強いが、「次第に弱点が減って進化している。『進学』なんて言い出しにくい雰囲気にはなってきた」と前出のスカウトはみている。

 プロ球団の評価もうなぎ上りで、ドラフト1位指名の最多重複記録を塗り替える可能性まであるという。

 これまでの最高は89年の野茂英雄新日鉄堺)と90年の小池秀郎(亜大)の8球団。

 つまり9球団以上が清宮を1位指名するかもしれないということだ。

■巨人は“雑音封じ”が狙い

 しかし、だからといって、清宮が高卒ルーキーながら3割30本をマークした清原和博や、後にヤンキースで4番を打った松井秀喜クラスの選手かといえば疑問。「多くの球団は実力プラス人気と話題性で1位というのが掛け値なしの評価でしょう。高校時代の清原や松井が持ち合わせていたような下半身のパワーやキレは感じられないし、本格的なトレーニングも足りないとみている球団が多い」と、あるセ・リーグ球団の編成担当者がこう言った。

「巨人はしばらく、大学や社会人など即戦力中心の指名で、甲子園で活躍したスター候補の獲得をほとんど見送ってきた。若手が育たないとの批判も噴出し、新たに就任した鹿取GMも若手育成に舵を切ると話しています。周囲の雑音を封じるためにも、クジで当たる当たらないはともかく、清宮を1位で指名することが重要という声も上がっているほどです。育成を重視する金本監督の阪神にしても、地元・甲子園のスターを1位指名しないわけにいかないでしょう。日本ハムも4番・中田のFA流出が確実視されているし、大谷も今オフのメジャー挑戦が濃厚。栗山監督はいまからクジ引きの練習をしているともっぱらです。今のところほとんどの球団が清宮1位でいくんじゃないでしょうか」

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 清宮の人気が一本かぶりになっている背景には、今秋のドラフトで飛び抜けた1位候補がいないという事情もありそうだ。

 同じ高校生の安田尚憲内野手履正社、右投げ左打ち)、社会人では左腕の田嶋大樹(JR東日本)、右腕の西村天裕(NTT東日本)、鈴木博志(ヤマハ)らが1位候補といわれるが、パ・リーグのあるスカウトはこう言った。

「田嶋は体の開きが早くてボールの出どころが見やすいうえ、フォームが変則で腰から肩にかけて痛めやすい。実際、腰痛持ちという話もある。西村は走者を出したときのピッチングが課題。ボールが上ずる傾向があり、プロで長く安定した成績を残せるかどうか。鈴木は球は速いが、肘に不安を抱えている。履正社の安田はタイミングの取り方がよくない。トップをきちんとつくらず、いきなり打ちにいくのはパワーヒッターとして疑問です」

 要するに、清宮以外の1位候補は絶対的な存在とはいえない。清宮は押し出されるようにしてダントツ人気になっているというのだが……